都市部では社会的地位が高いほど睡眠の質が高くなる。

ドイツの都市に住む人々の、社会経済的な地位と睡眠の質の関係

2013年Association of Dermatological Preventionで行われた本研究は、ドイツの都市に住む大人が対象で、社会経済的地位（お金や学歴、仕事のレベル）と睡眠の質（どれだけ良く眠れるか）にどんな関係があるかを調べた。

3281人のデータを使って、健康や心の状態も考慮しながら、分析を行った。

その結果、給料や学歴が高い人ほど、良い睡眠がとれる可能性が高いとわかった。

ただし、この関係は、不安やストレス、健康状態にも影響されることが明らかになった。

研究の背景

睡眠は体と心の健康にとても大切で、良く眠れることは生活をより良くするポイントの一つだ。

睡眠に影響を与えるものとして、ストレスや健康状態がよく知られているが、お金や学歴といった社会経済的な要因（SES）がどう関係しているかについては、あまり研究が進んでいない。

SESが高い人は、普通は健康や生活環境が良いとされているが、それが睡眠にどう影響するかははっきりしていない。

そこで、この研究では、SESと睡眠の質の関係を調べることを目的にしている。

方法

データは、2003年から2006年に行われたQUEBEB調査という大規模な調査から集められた。

この調査では、ドイツ国内の51,444世帯が対象で、特に都市に住む大人が調べられている。

参加者の睡眠の質は「ピッツバーグ睡眠質指数（PSQI）」という方法で評価され、社会経済的地位（SES）は「ウィンクラー指数」という基準で測定された。

解析には、SESだけでなく、年齢や性別、不安、ストレス、健康状態、住んでいる場所などの要因を考慮して分析が行われた。

研究結果

結論から。

分析結果では、社会経済的地位（SES）が高いほど、睡眠の質が良いことがわかった。

社会経済的地位（SES）が低い人の平均スコアは6.10だったが、社会経済的地位（SES）が高い人では4.38と大きな差があった。

また、社会経済的地位（SES）が中くらいの人もスコアは4.97で、社会経済的地位（SES）が高い人に近い結果になった。

さらに、年齢や性別、不安、健康状態も睡眠に影響を与えることが確認された。

たとえば、男性は女性よりも良い睡眠をとる傾向があり、年をとると睡眠の質が下がる。

また、不安や抑うつが強い人や、病気を抱えている人は、睡眠の質が低いことがわかった。

地域に関しては、都市部と郊外で大きな差はなかったが、郊外に住む人のほうがやや良い睡眠の質を持つ傾向が見られた。

さらに、結婚している人は独身や離婚した人よりも、良い睡眠の質を持つ可能性が高いことが示された。

制限事項

信頼度：Cランク

この研究は都市部の住民を対象としているため、農村部の人々に当てはまるかどうかはわからない。

また、社会経済的地位（SES）のデータが2004年、睡眠の質のデータが2006年に集められているため、その間にSESが変わっている可能性がある。

しかし、SESは比較的安定していると考えられるため、大きな問題ではないだろう。

さらに、騒音、運動、食事、薬物使用といった、睡眠に影響を与える他の要因が考慮されていないことも、この研究の限界の一つだ。

まとめとアクションプラン

この研究では、ドイツの都市に住む人々の社会経済的地位（SES）が高いほど、睡眠の質が良いことが明らかになった。

また、年齢や性別、不安、健康状態も睡眠に影響を与えていることが確認された。

都市部より郊外に住む人や、結婚している人のほうが、より良い睡眠の質を持つ傾向がある。

不安や抑うつを感じている人や、健康に不安がある人は、専門家に相談して心と体のケアをしましょう。

特に、社会経済的に不利な状況にある方は、ストレス管理や健康改善のサポートを積極的に利用することをおすすめします。