2014年にスタンフォード大学で行われた研究は、歩行が創造的発想に与える影響を4つの実験を通じて調査した。
最初の実験では、参加者が座っている状態とトレッドミルで歩いている状態で「Guilford’s alternate uses (GAU)テスト」と「compound remote associates (CRA)テスト」を実施した結果、歩行によって81%の参加者がGAUテストで創造性を向上させたが、CRAテストでは23%の参加者にしか効果が見られなかった。
次の実験では、座っている時と歩いている時、またはその逆の順でGAUテストを行い、歩行後に座っても創造性が持続することを確認。
3つ目の実験では、屋外での歩行が創造性にどのような影響を与えるかを検討。最後の実験では、屋外を歩くことで最も新しく、質の高いアナロジー(類推)が生み出された。
結論として、歩行は創造性を高めるための簡単で効果的な方法であると証明された。
研究の背景
哲学者ニーチェが「すべての偉大な考えは歩きながら生まれる」と述べたように、歴史的に歩行と創造性の関連性はよく知られていたが、これを科学的に検証した研究はあまりなかった。
この研究は、歩行が創造的思考にどのような影響を与えるかを解明することを目的としているとのこと。
研究方法
4つの実験が行われ、各実験で異なる条件下での歩行が創造的発想に与える影響を調べた。
- 実験1
48人の大学生を対象に、座った状態と歩いている状態でGAUテストとCRAテストを実施。
GAUテストでは、参加者が与えられた一般的な物体(例:ボタン、タイヤ)の新しい使い道を4分間でできるだけ多く考えた。
結果、歩行中の方が座っている時よりも多くの創造的アイデアが生まれた。 - 実験2
参加者は、座った状態から歩行、またはその逆の順でGAUテストを行い、歩行中だけでなく、歩行後に座っても創造性が持続することを確認。 - 実験3
屋外での歩行が創造性に与える影響を調査。
結果、歩行は座っている時と比較して、創造的発想を2倍以上促進し、100%の参加者が歩行後に創造性を向上させた。 - 実験4
室内外での歩行や、車椅子での移動が創造的アナロジー生成に与える影響を検討。
結果、屋外を歩くことが最も質の高いアナロジーを生み出し、95%の参加者が少なくとも1つの新しい質の高いアナロジーを生成した。
研究結果
- 実験1
GAUテストの結果、歩行中に創造的アイデアの数が平均33.1件となり、座っている時の22.2件よりも大幅に増加。81%の参加者が歩行中に創造性を向上させた。 - 実験2
座っている状態から歩行に移ると創造性が向上し、その後に座った場合でもその効果が持続。 - 実験3
屋外での歩行は、座っている時と比較して、創造的アイデアの生成数を2倍以上に増加させ、100%の参加者が歩行後に創造性を向上。 - 実験4: 屋外での歩行が、他の条件と比較して最も新しいアナロジーを生み出し、95%の参加者が少なくとも1つの新しい質の高いアナロジーを生成。
まとめ
- 歩行は、座っている時と比較して創造性を大幅に向上させる。
- 参加者の81%が、歩行中に創造的発想(GAUテスト)でより多くのアイデアを生み出した。
- 歩行後に座っても、創造性の向上効果が持続する。
- 屋外での歩行は、屋内での歩行や座位よりも新しく質の高いアナロジーを生み出す効果が高い。
- 全体的に、歩行は創造性を高めるための簡単で効果的な方法である。
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